偽りのキス

「乙と、仲良くしてんの?」

気になって律に聞いた




律はパンをかじりながらオレを見た


「仲良く…?まぁ、そんなところ…」



なに?その気になる言い方





キスできるもん…


キス、したのかな?





「仲良くって…?」



「蒼汰、気になんの?
付き合っても別にいいって言ったじゃん」



「付き合ってんの?」



「気になる?」


なる…



「いや、別に…」




「…まだ手も繋げない…」



「え…」



「安心した?」



「いや…」



「オレ、チャラチャラしてそうだけど
女の子と目が合わないとキスしないんだ
でもだいたい合っちゃうんだよね
だいたい合わせてくる

なのに、乙ちゃん、オレの目見なかった

ショックだった…

手も繋げないなんて
オレ、情けねー

大丈夫
オレは乙ちゃんのこと傷付けないから…
安心しろ」




傷付けないから…



オレは乙を傷付けてる




律の方が
ずっと乙の気持ち考えてる






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