俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 私はさりげなく隣を歩く貴士さんを盗み見る。

 貴士さんの黒い髪が春の風に吹かれてさらりと流れる。
 普段は前髪で隠れている形のいい眉が見えた。
 貴士さんは背が高いのもあって精悍で男らしい印象なのに、ものすごく整った綺麗な顔をしている。

 改めて彼のかっこよさを実感しながらその横顔に見とれていると、足もとにあった段差に躓いた。

「きゃっ」

 バランスを崩し短く悲鳴を上げた私の腕を、大きな手がつかんだ。

「なにやってるんだ」

 貴士さんは転びそうになった私を軽々と抱き寄せ、あきれたように言う。

「す、すみません」
「道の段差にも気付かないくらい、夢中でなにを見ていたんだ?」
「えっと、その」

 あなたの横顔に見とれていました、なんて正直に言えるわけがない。

 私が答えに困っていると、貴士さんはふっと息を吐いた。
 そして私の腕を掴んでいた手を開き、こちらに差し出す。

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