俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　なんだろう。
　大きな手を前に首をかしげていると、貴士さんは短く笑い私の手を取った。
　ぎゅっと手を繋がれ、心臓が跳ねる。

「あの……？」
「俺に見とれて転ばないように手を繋いでおこう」
「えぇっ!?」

　こっそり見とれていたのがバレバレだったことと、手が触れ合う緊張とで、一気に体温が上がった。

　動揺する私を見た貴士さんは、綺麗な唇を引き上げ少し意地悪な笑みを浮かべる。
　その表情がかっこよくて、私の頬はまた熱くなる。

　なにこの悪循環。もう、勘弁して。

「行こう」

　そう言って、貴士さんはゆっくりとした歩調で進みだした。


　のんびりとした田舎町を、ふたりで手を繋いで歩く。
　まるで、デートみたいだ。そう思うと、心臓がドキドキと音をたてた。




　

　目的の直売所に着いた途端、貴士さんに気付いたおばちゃんが声をかけてきた。

「あら、都築さん！」