俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「謙遜するな。大学在学中に大きな賞を受賞して、十分な実力を持っているのに、書道教室の講師をしているだけなんてもったいないと思わないか?」

 そう問われ、私は唇を噛む。

 書道展の表彰式の控室で、ほかの受賞者たちがひそひそとささやいていた言葉が耳の奥によみがえる。

 あのとき貴士さんはただの妬みだと言ってくれた。
 あんな中傷気にしなくていいと言ってくれた。

 けれど、今でも忘れられないのは、自分に自信がないからだ。

「綾花は書家として、もっとたくさんの人に自分の作品を届けたいんじゃないのか? 今の生活で、本当に満足しているのか?」

 その問いかけに、心が揺らいだ。唇を噛んで黙り込むと、貴士さんが短く息を吐く。

「……悪い。少し言い過ぎた」

 謝罪され、私は首を横に振る。

「綾花の才能を知っているから、はがゆくなった」

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