俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 しばらくしてゆっくりと唇が離れ、湿った吐息がもれた。

「たかし、さん……」

 肩で息をしながら名前を呼ぶと、きつく抱きしめられた。
 私の心臓は、ものすごい勢いでドキドキと脈を打っていた。





 


 貴士さんとキスをしてしまった……。


 唇の感触を思い出し、つい料理をする手が止まる。

 柔らかくて、温かくて、すごく気持ちよかった。
 思い出すだけで首筋のあたりに甘いしびれがよみがえり、心臓がきゅんと音をたてる。
 
 貴士さんと一緒に暮らし始めて二週間。私はますます彼を好きになっている。

 ……どんなに好きになったって、彼が想っているのは私じゃないのに。

 彼への好意と切なさで、胸が苦しくなりため息をつくと、「どうした」と声をかけられた。

「ひゃ!」

 おどろいて振り返る。
 いつの間にか貴士さんがキッチンに立つ私をのぞきこんでいた。

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