俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「な、なんでもないです」

 慌てて首を横に振りとりつくろう。

「もうすぐご飯ができるので、居間で待っていてください」

 素っ気なく言って彼から離れた私に、貴士さんは「手伝うよ」と近づいてくる。

「いえ、大丈夫です」

 ぴっと手を伸ばし、それ以上近づかれないように距離をとる。
 すると、貴士さんはそのまま壁に背中をもたれ、食事の支度をする私をながめていた。

「どうかされましたか?」

 そうやって見つめられると落ち着かない。

 なにか用事だろうかと思ってたずねると、彼は「んー」とつぶやき意地悪く微笑んだ。

「キスの最中はあんなに素直でかわいい反応をしていたのに、冷静になるとやっぱり壁を作られるんだなと思って」
「な……っ!」

 とんでもない発言に言葉をなくす。

「必死に俺のキスを受け止めながら、ぎゅっと肩にしがみつく綾花はかわいかったのに」

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