俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 グラスの側面にはりついた小さな水滴を指でなぞりながら小さく笑った。

「綾花は本当はさみしがりやなのに、自分はひとりで平気だと思い込んでるのよね」

 彼女は相当酔っているのか、どこか遠くを眺めていた。

「小さいころから、私と貴士が一緒にいると綾花はうらやましそうに見てた。でも私はあの子は自分から仲間に入れてって言えない子だってわかってて、わざと声をかけなかったんだよね」
「どうして?」
「だって綾花、かわいいんだもん……!」

 渚沙は突如頬を染め、きつくこぶしを握り締めながらつぶやく。

「私をうらやましそうに見つめながら、瞳をうるうるさせてる綾花がかわいくてかわいくて! あんな顔で見つめられたら、もっといじめたくなっちゃうじゃない……!」
「お前、性格悪いな」

 渚沙の言葉に思わず身を引いた。
 こんなやっかいな性癖を持った姉に愛される綾花が、不憫に思えてくる。

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