俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 この色っぽい声は、間違いなく貴士さんの声だ。
 私は貴士さんの部屋で、貴士さんの腕枕で寝ていたようだ。

 そう自覚して、ますます混乱していく。

 待って待って、少し状況を確認させて。
 どうして私は貴士さんがここにいるの?
 貴士さんは東京に行っていて、今日帰ってくる予定だったのに。

 昨夜は久しぶりの雨で少し感傷的になったのか、ひとりの夜が寂しくて貴士さんのジャケットを抱きしめた。
 そして、居間でうとうとしているうちに、貴士さんの夢を見たんだ。

 これは夢だと確信した私は、貴士さんに思い切り甘え、自分の素直な気持ちを伝えた。
 全部、自分の夢だと思っていた。

 なのに、私が貴士さんの腕枕で寝ていたってことはもしかして……。

「ゆ、夢じゃなくて現実……っ!?」

 思わず叫ぶと、うしろからくすくすと楽し気な笑い声が聞こえてきた。

「目が覚めたか?」

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