俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「俺なら、綾花さんに寂しい思いなんてさせません。悲しませたりもしません。ずっとそばにいて幸せにしますから……」

 中村さんがそう言ったとき、後ろから手が伸びてきた。
 誰かが私の肩を抱き、強引に引き寄せる。

「誰が誰を幸せにするって?」

 低い声に驚いてふりむくと、貴士さんの男らしい横顔があった。
 ぞくっとするほど鋭い視線が中村さんに向けられている。

「た、貴士さん……」
「綾花を泣かせるのも幸せにするのも、俺だけだ」

 威圧感のある声でそう言って、中村さんを見下ろす。
 中村さんは驚いた表情をしていたけれど、ぐっと唇を噛み貴士さんを見つめ返した。

 ふたりの間に冷たい火花が散った気がした。

「綾花。今回の話は断るぞ」

 その言葉に私は驚いて目を丸くする。

「でも、みなさんすごく熱心に町のことを考えていて……」
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