俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 どうしたんだろうと思い、後ろを振り返る。

 中村さんは真剣な表情で私を見つめていた。

「綾花さんは、幸せですか?」

 唐突な質問に戸惑い、私は首をかしげる。

「婚約者の都築さんが来てから、綾花さんはどこか悲しそうに見えます。昨日も都築さんが東京に言っている間、ひとり家に残されて寂しそうにしていましたよね」
「そんなことは……」
「都築さんと結婚して、綾花さんは幸せになれるんですか? 本当に、ふたりは愛し合っているんですか?」

 その言葉が、胸に深く刺さった。

 貴士さんが私と結婚するのは、親同士の約束を果たすためだ。
 そこに愛はない。
 だって彼は、私じゃなく姉の渚沙を愛しているんだから。

「それに綾花さんがおじい様の家を守るなら、結婚したって都築さんと一緒にはいられませんよね。そんな生活が本当に幸せなんですか?」

 中村さんは私に向かって一歩踏み出しながら続ける。

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