俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 駐車場の端に貴士さんの白いセダンが停まっているのが見えた。

 わざわざ私を迎えに来てくれたんだろうか。
 そう思いながら貴士さんを見上げると、彼は「雨が降り出しそうだったから」と短く答える。

 確かに、鉛色の空からは今にも雨が落ちてきそうだった。

「ありがとうございます。でも、天気予報を見て、傘はちゃんと持ってましたよ」

 折り畳み傘を出して見せたけれど、彼は一瞥しただけで私の腰を抱いて車へと進む。
 どうやらまだご機嫌斜めのようだ。

 車の助手席に座りドアを閉める。
 運転席に座った貴士さんににらまれ、緊張で背筋が伸びた。

「念のために、迎えに来てよかった」
「貴士さん……?」
「綾花があの男に口説かれているのを見て、嫉妬で狂うかと思った」

 低い声で言われ、心臓が跳ねる。
 苛立っている彼の横顔は、迫力があるのに色っぽい。

< 178 / 297 >

この作品をシェア

pagetop