俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
「シマノさんも、幸せそうでよかったな」

 そう言われ、気を取り直して「本当ですね」とうなずく。
 すると貴士さんが私に耳元に唇を近づけた。

「シマノさんに負けないように、俺たちも頑張らないとな」
「頑張るって……?」

 意味が分からず目をまたたかせると、貴士さんは色気たっぷりの流し目をこちらに向ける。

「俺たちもふたりがいい? それとも三人?」

 そう問いかけられ、彼の言いたいことを理解して頬が熱くなった。

 こんなところでそんな話をしなくても、と苦情をこめて貴士さんを睨む。
 けれど、いたずらっぽく微笑みかけられ心臓がはねた。

 そのとき、ざぁっと音をたてて風が吹いた。
 緑の葉をしげらす桜の木の枝がしなり、木漏れ日が揺れる。

 顔を上げると真っ青な空に浮かぶ白い雲が、夏の風に吹かれ流されていくのが見えた。

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