俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 細い農道をトラクターがのんびりと進んでいく。

 東京で華やかな生活をしている貴士さんが、こんななんの刺激も娯楽もないのどかな田舎町で、しかも不便な日本家屋で一ヶ月も暮すなんて無理だろう。きっとすぐに飽きて、音を上げるに違いない。
 そして、活発で明るい姉とは正反対の、無口で面白みのない私にも愛想をつかすにきまっている。

 そう思うと、少し気が楽になる。

「それで貴士さんが納得されるなら」

 うなずいた私に、貴士さんが近づいた。

「じゃあこれから俺は、綾花が結婚する気になるようにとことん口説くつもりだけど、なにか見返りがないと張り合いがない」
「見返り?」
「一緒に暮らす間に俺のことを好きになったら、一か月後に綾花を抱く」

 そう宣言された私は目をまたたかせた。その言葉の意味を理解すると同時に、一気に頬が熱くなる。

「だ、抱くって……!」

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