俺様社長と<期間限定>婚前同居~極上御曹司から溺愛を頂戴しました~
 眩しさに目を細めながらつぶやく。
 すると外から玉砂利を踏む音が聞こえてきた。

 野良猫のシマノさんにしては、足音が大きい。
 不思議に思い縁側に出る。
 外をのぞいた私は目を丸くした。

 軽く息を弾ませながら庭に入ってきたのが、貴士さんだったから。

 この辺りを走ってきたのだろうか。シンプルな黒のランニングウエア姿の貴士さんは、縁側にいる私を見つけて目元を緩めた。

「おはよう、綾花」
「た……っ」

 彼の挨拶に、私はぱくぱくと口を動かす。

 待って。心の準備ができていない。
 朝からこんなさわやかな笑顔を向けられた私は、心拍数が上がって、頭が真っ白になる。

「こっちは山の中だから、都心より気温が低いな。木陰も多いし、走ってて気持ちがいい」

 貴士さんはそう言いながら、自分が着ているシャツの裾を持ち上げて首元の汗を無造作に拭う。

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