俺様社長と<期間限定>婚前同居～極上御曹司から溺愛を頂戴しました～

　まん丸になった目元がじわじわと赤くなっていく。
　綾花は四つん這いのまましばらく凍り付いた後、無言で前を向いた。

　俺に背を向けて何度か深呼吸を繰り返す。
　そして、すっと立ち上がり、スカートを手で払って乱れた裾を整えた。

「貴士さん、これからお昼ご飯の準備をしますね」

　冷静な声で言ってこちらを振り返った綾花は、なにごともなかったような平然とした表情をしていた。

　どうやら今の自分の行動をなかったことにして、誤魔化そうと決めたようだ。

　けれど、目元や耳は真っ赤になっていて、動揺がまるわかりだった。
　素直じゃないのに素直な反応を隠しきれていない彼女が、かわいくてたまらない。

　さすがに笑いがこらえきれなくて、思いきり噴き出す。

「な、なんで笑うんですか……っ！」

　俺の笑い声に、必死に冷静なふりをしていた綾花が真っ赤になって慌てだした。