添い寝ふれんど
「礼愛、また眠れなかったの?クマ隠しきれてないよ~」
朝の挨拶も満足にしないうちに未生に指摘をされる。
「おはよう。化粧で隠してきたつもりなんだけどな~」
私は更衣室の自分のロッカーの鏡で目元を確認する。
「確かに、隠れてない」
目の下には黒いクマが存在感を表していた。
「で、予約はしたの?」
クマを気にしながら化粧ポーチを探す私に未生が着替えながら尋ねてくる。
添い寝ふれんどのことだろう。
「ん~サイトは見たんだけど…予約はしてない」
少し小声になりながら返答する。
「えぇっ!?なんでよ?高い?」
未生は驚きながら、ロッカーの鏡でクマ隠しにいそしむ私をのぞき込む。
「…お金っていうよりは、知らない人っていうのがなんだか怖くて」
私をのぞき込むように見ている未生から視線を外すと、未生は勢いよく話し出した。
「確かに私も最初怖かったけど、他人だからこそ話せることもあるし、思ったより安眠できるよ?変なこともしてこないし」
「そうかも知れないけど…」
未生の力説を聞いてもなかなか踏み出せない私を見て未生は
「これでちゃんと眠れたらいいなぁっていうお試しでもいいじゃん」
と言って、更衣室から出ていった。