蓮華草
「俺の両親は俺が小さい頃に亡くなったんだ。大きな火事で、家は全焼。
たまたま友達の家に泊まってた俺だけが無事で、父さんと母さんはその火災によって死んでしまった。
それから俺は施設じゃなくて、親戚でもなくて、里親に引き取られた」

春から聞かされたのは、辛い、辛い過去だった。
里親はとてもじゃないが優しい人ではなかった事。
毎日道具のように扱き使われていた事。
何事も完璧である事を求められた事。
それが苦痛で半ば家出をするように一人暮らしを始めた事。
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