無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

週明け、美保にも事の顛末を報告した。

「そっかぁ。じゃあちゃんと話せたんだね」

「うん、お騒がせしました」

「そっかそっか。環は新しい恋して幸せにならなきゃね!」

食堂できつねうどんを頬張る美保と、お弁当のわたし。話題はもっぱら恋バナだ。

「新しい恋、かぁ。当分そんな気になれないや」

「えー、そうなの? 熱烈に推したい人がいるんだけどなぁ」

なんてうっとりしながらからかうように美保が笑う。

「それって、高瀬でしょ?」

グサッとウインナーにフォークを刺して口に入れる。

モグモグ頬張りながら、美保を軽く睨んだ。

「あはは、なんだ、わかってんじゃん。いいよね、高瀬くん。見てる限り絶対環のこと特別視してるしさ」

「よくない。だって、落ちたらきっと抜け出せないもん」

この前だって変なこと言われて、週末は高瀬のことが頭から離れなかった。

『俺ね多分、そのときからすっげーハマってる』

思い出すたびにゾクッとする。

凄まじいほどの色気だった。

「その気持ちはわからなくもないけど、そういうのって理屈じゃないじゃん?」

「……っ」

「気づいたら落ちてるもんでしょ?」

「そう、だけど……」

落ちたくないの、断固として。

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