無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
ちょっと背伸びをして高瀬の唇にキスをした。
だけど恥ずかしいから、すぐに離して顔をそらす。
「なにそのかわいいの。そんなんじゃ全然足りない」
「んっ……」
深く濃厚に重ねられる唇。
片方の手が後頭部を優しく撫でるもんだから、その仕草にさえもキュンとして。
高瀬の背中にギュッとしがみつく。
「煽ってんの?」
「ち、ちがっ……っ!」
「ふーん。ちがうの? もっとしてほしいって顔してるのに?」
ゾクリとするほどの色気を含んだ声に、思考が甘く溶かされていく。
「高瀬の……バカッ」
「李音」
「へっ?」
「名前で呼んでよ」
名前?
「名字とかよそよそしいじゃん。こんなにいろいろしてる仲なのに。ね?」
いろいろって……。
高瀬の言葉にいちいち反応しちゃう。
「む、無理だよ」
「なんで?」
「今まで誰のことも呼んだことないから、慣れてない」
李音なんて、高瀬の下の名前なんて呼べない。
恥ずかしすぎる。
「じゃあ俺で慣れてよ。俺が最初で最後の男になる」
サラッとすごいセリフに、一瞬で高瀬の虜。
だけど多分、ううん、きっと、からかってるだけ。
だってそんな顔だもん。