無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

呼び止められた瞬間、なぜかキュンって。

やっぱりどっかおかしいのかな、俺。そんなふうに思いながら振り返ると、かしこまった表情のたまちゃんの姿。

キョロキョロとあたりに視線を巡らせて、西河に見せてた顔とは大ちがい。

『体は大丈夫? 昨日はごめんね。どうしても抜けられない用事があって帰っちゃった』

申し訳なさそうに謝るたまちゃんを見て、ちょっとだけ頬がゆるんだ。

『ありがとね。あれ全部飲んだら、お腹チャポチャポになった』

『え、全部飲んだの?』

驚きに目を見開くたまちゃん。

コロコロ変わる表情がネコっぽくてかわいい。

『うん』

『そっかぁ。元気ならよかった。もう無理はしちゃダメだよ? いきなり倒れるんだもん、ビックリしちゃった』

『わかってる、迷惑かけてごめんね』

『ううん、心配してるの。高瀬くん、真面目に走ってたし』

心配、ね。

この子、俺のこと狙ってんのかな?

なーんて。

『わたしも負けたくなくてつい張り切っちゃった』

抜かされたの、悔しかったんだよね?

意外と負けず嫌いな一面もあるってわかってビックリ。

スタスタと目の前まできて、たまちゃんはじっと俺の顔を凝視した。

なに?

いきなり。

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