無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
次の日の朝、学校の最寄り駅に着いて歩いている途中で、友達と歩いているふわふわ頭の上条サンを見かけた。
『あ、ねぇ、環。あれって西河くんじゃない?』
『ほんとだ。西河だ。声かけてみよう』
トテトテ歩いて少し前を歩いていた黒髪男の背中をちょんと叩く上条サンの背中をじっと見つめる。
『西河、おはよ』
『おー。おはよ、上条』
ふーん。
上条サンって、男友達いたんだ?
しかも自分から声かけてるし。
西河って呼び捨てにしてるなんて驚き。
そんなタイプに見えないのにね。
西河ってあれだよな。サッカー部のイケメンだ。有名人だから俺でも知ってる。
見るからに爽やかで、性格もよさそう。
だらしなくゆるんだ上条サンの横顔を見て、そんな顔もするんだなって意外な発見。
名前も環っていうんだ?
知らなかった。
そっか、環ね。
たまちゃん、か。
うん、ネコっぽくてピッタリ。
心の中で密かにそう呼ぶことを決め、背中を追い越す。
『あ、高瀬くん!』