無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。
『だめ』って言ったのだってわたしをからかっただけだよ、きっと。
「わ、わたし、急いでるから。またね」
悪ノリする男子たちに耐えられなくて、立ち去ろうとする。
「待って」
するとグッと手を握られて、振り返らされた。
前から思ってたけど、高瀬の距離感はいろいろとおかしい。
いとも簡単にパーソナルスペースに入ってきて、当たり前のようにそこにいる。
ビックリするくらい自然だから違和感がなくて、気づいたら高瀬にされるがまま状態のわたし。
「一緒に帰ろう」
「えっ」
「駅方向でしょ?」
なんで知ってるの?
一緒に帰ろうって、なんで……?
「だめ?」
うっ。
「か……勝手にして」
こういうとき、きっぱり断れないわたしって……。
「はは、やった。勝手にする」
なんでそんなに嬉しそうなのかさっぱりわからない。
「いい加減、手を離してくれないかな?」
「え、やだよ。たまちゃんの手、ちっさくてかわいいから」
持ち上げられて頬ずりされた。
きめ細やかなきれいなお肌はすべすべだ。
「もう! なにすんの。離して」
「あはは、照れてるの?」
「誰が」
やっぱりこういうノリだよね……。
キスだって、手を繋ぐみたいに簡単にできちゃうんだ。