無気力な高瀬くんの本気の愛が重すぎる。

「上条さーん、俺らを助けると思ってライフわけてくんない?」

ん?

ライフ?

「あ、スマホゲームの話ね。無課金でやってると装備もそこそこのしかなくて、すぐ死ぬんだよ」

スマホゲーム?

それぞれみんなスマホを手に、どうやらゲームをしていたらしい。

そういえば、この前高瀬もゲームをしてたな……。

にこやかに話しかけてくるのは高瀬の友達。

「ほら、早く早く。連絡先交換しよー。んで、ライフわけて。一日一回メッセージで送ってくれると助かる」

「あ、俺も俺も!」

キラキラした眼差しで見られて、とてもじゃないけど断れない雰囲気。

そんな気分じゃないけど、切実に困っていそうだし。

拒否するのも、ね?

ブレザーのポケットに入れていたスマホを出そうとしたら、横から伸びてきた手に動きを止められた。

「だめ」

え……?

「なんだよー、高瀬。邪魔すんなって」

「たまちゃんだけはだめ」

わたしを含め、その場にいた全員の動きが止まる。

「『だけは』ってなんだよ〜? お前らってそういう関係なの?」

「つかお前、俺らにはやめとけみたいなこと言っといて、ちゃっかり手ぇ出してんのかよっ!」

ちょっと、ちょっと。

やめて〜……!

内心焦っていると、高瀬と目が合ってクスッと笑われた。

こんな状況に動じることもなく、堂々としてるところが絶対慣れてる。いろいろと。

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