後輩くんはワンコ時々オオカミ


委員会の開かれる教室は
体育館近くの空き教室で

黒板に書かれたクラス順に座ると
遅れてやってきた飯田が


「置いてくなよ〜」


戯けたように笑った


とりあえず無視して隣のクラスの委員の子とお喋りしていると

最後に入ってきた男子が視界にはいった

その子はキョロキョロと視線を動かし
同じクラスの子を見つけているようで

その仕草が可愛くて

見ているつもりもなかったのに
視線が追いかけていた

その不躾な私の視線と
その子の目が合ってしまった

・・・っ

慌てて逸らそうとした瞬間
その男子はニッコリ笑って頭を下げた


・・・ん・・・と?


どっかで見たことあるよーな
考え始めた時には既に席に座ろうとしていて

その場所から推測するに一年生ってことだけ分かった


・・・一年生・・・ん・・・


しばらく考えていたけれど
知ってる男子との照合は当てはまる人物はいなくて


・・・諦めた


そこで終わるはずだったのに


委員会が終わるとすぐ
その子が声をかけてきた


「眞子先輩、お久しぶりです」


「・・・え」


誰だっけ・・・


「眞子先輩?」


ブラウンの髪は天パなのかフワフワで

アーモンドアイと薄い唇は
高校生相手に失礼だけれども
可愛いって表現がピッタリのワンコ風

・・・ん?・・・ワンコ?


「・・・涼太《りょうた》?」


「も〜、眞子先輩やっと思い出してくれた〜」


少し尖らせた唇は
私の知ってる三年前にも見たことのあるクチバシで

揶揄うとすぐ作っていたことを思い出した


「だって、成長し過ぎじゃない?」


見上げる程の身長は
あの頃の面影なんてひとつも無い
言うなれば・・・別人みたい


「眞子先輩が高校へ進級してから
グングン伸びたんです」


涼太は自慢気に顎をしゃくった







< 11 / 79 >

この作品をシェア

pagetop