後輩くんはワンコ時々オオカミ


ずぶ濡れの制服は冷たくて重い
早く着替えなければ風邪をひいてしまう


「眞子先輩、それじゃ俺帰ります」


マンションのエントランスで買い物袋を渡そうとする涼太の腕を咄嗟に掴んだ


「ダメよ、濡れたままなんて風邪引いちゃう
うちに寄って制服だけでも乾かそう?」


ポタポタと滴の落ちる涼太の髪は
元気を無くしたワンコのように
ペシャンコになっていて
無意識のうちに手を伸ばしていた


「眞子先輩」


「ごめんね、買い物に付き合わせちゃったから」


「俺が行きたいって言ったから
眞子先輩は悪くないです」


「早く、行こう、風邪引いちゃう」


今度は私が涼太の手を引いて
エレベーターに乗った


鍵を開けて家に入ると
お風呂まで涼太を連れて行く


「シャワー浴びて?その間に
洗濯機回すから」


「・・・」


「えっと、脱いだらカゴにいれて
タオルはこれを使って?
着替えは・・・探してくるね」


早口で涼太に説明すると
その場を抜け出した

タオルで自分をザッと拭きながら
寝室へ向かう


「確かパパのが・・・」


クローゼットを開いて
足元の棚を探す


「あった」


スウェットの上下を取って
パッケージを開けていない下着の予備を掴むと脱衣所まで早足で戻った

そんな直ぐは出てこないと思うけれど
鉢合わせなんて困る

シャワーの音が聞こえるのを確認して
涼太の制服を洗濯ネットに入れて洗濯機へ入れスイッチを押す

その洗濯機の上に着替えを乗せると
急いで脱衣所を出た


< 26 / 79 >

この作品をシェア

pagetop