後輩くんはワンコ時々オオカミ




「眞子先輩、帰りましょ〜」


アイツを出し抜くように
眞子先輩を連れ出すと
逃げられないように手を繋いだ

それはバスの中でも離さず
ずっと繋いだままにした

そうやって、俺を意識してもらえるように

もっと俺のことを考えてもらえるように

コツコツ積み上げることにしたのに




シャワーを借りた後
洗濯機に置かれていたのは
明らかにメンズサイズのスウェットで

眞子先輩と同じ柔軟剤の香りが

彼氏は居ないと聞いたはずの俺の気分を下げてきた



□□□



『それパパのなの』


単純な俺はそれを聞いて飛び上がりそうになった

・・・良かった彼氏じゃない

それに

続いてシャワーを浴びた眞子先輩は
俺が急かした所為で着替えを忘れたようで

扉の隙間から見えたバスタオルを巻いた肩口に
俺の心臓は壊れそうな程騒いだ


更に更に

眞子先輩の手料理をご馳走してもらえることになって

それによって知ったのは
眞子先輩が一人暮らしということ

気分は空より上がったけれど
急に心配も膨らんだ

カウンターの椅子に腰掛けて
料理をする眞子先輩を見つめる

包丁を持つ眞子先輩も
フライパンを振る眞子先輩も
どれも新鮮で
ずっと喋りかけていた

そうして完成したのは
俺の大好物のオムライス

ケチャップライスを包んだ卵は薄く焼かれていて

これも俺好み

眞子先輩はどこまで俺を惚れさせるつもりだろう

並んで手を合わせると
躊躇いもなくスプーンをオムライスに突っ込んだ



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