後輩くんはワンコ時々オオカミ


「美味しい」

炒められたケチャップライスは
みじん切りの野菜とご飯のバランスも良くて
大きめに切った鶏肉もジューシーで美味しい


「美味しい」


それ以外の言葉を忘れたかのように
“美味しい”を連発しながら食べていると

隣から伸びてきた手が
俺の頭を撫でた


「・・・っ」


驚いて視線を向けると
ニコニコと破壊力抜群の眞子先輩の笑顔が間近にあって更に固まる


・・・可愛い


スプーンを口に咥えたまま
眞子先輩に見惚れていると


「・・・ん?・・・涼太?
え?・・・もしかして熱?」


・・・熱?

眞子先輩は何を勘違いしたのか立ち上がった

その腕を咄嗟に掴むと


「まっへ」

スプーンの所為でおかしなことを口走る

「?」

慌てて抜き取り
「待ってください眞子先輩」

誤解を解かなきゃと思う


「熱じゃありませんから」


「え?だって・・・涼太の顔
真っ赤だよ?さっきの雨で・・・」


眞子先輩の声に自分の顔が赤くなっていることに気付いて
嬉しいのと申し訳ないのと
ゴチャゴチャの感情が強引に間合いを詰めた


「・・・っ」


鈍感過ぎる眞子先輩が可愛くて
腕の中に閉じ込めると

頭ひとつ分小さな眞子先輩は
俺の腕の中で肩を揺らした




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