後輩くんはワンコ時々オオカミ


広い城山公園に着くと
昨日の雨が嘘のように晴れたお陰で
新緑がキラキラと光って見える


ボール遊びもできる広場は
親子連れが沢山いて

穏やかな時間の流れに
歩幅もゆっくりになる


「眞子先輩?」


「ん?」


歩きながら名前を呼ばれて
背の高い涼太を見上げれば


こちらを見下ろす涼太と視線が絡んだ


「眞子先輩、一人暮らしは
寂しくないですか?」


「あ〜、もう慣れたけど
寂しいなって思うことはあるよ?」


「じゃあ、これからは寂しいって思ったら
俺にメッセージくださいよ
電話しても良いですからね?」


「ん?」


「歳下だけど、もうこんなに大きくなったし
頼られる男になりたいと思うんです
だから眞子先輩が寂しい時も嬉しい時も
一番に連絡したいと思い出すのは俺でありたいです」


ストレートに想いを伝えてくれる涼太に


「考えとくね」


酷く曖昧な返事をしてしまった


そんな狡い私を


クスッと笑った涼太は


「そうやってお姉さん振るところも
実はめちゃくちゃ好きなんです〜」


問題ないと動じなかった


なんだろう・・・
たった三日間で

涼太のペースに巻き込まれている


それがちっとも嫌じゃないことが

私の中の変化に繋がっているなんて


自分自身はまだ気付いていなくて



穏やかだった毎日が
涼太の登場で

激変することになるなんて


胸の苦しさが

違う痛みに変化することも


気付いていなかった












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