後輩くんはワンコ時々オオカミ


「どういうことか説明しろよっ」


教室に着いて早々に絡んできた飯田は
後ろの席から延々と攻めてくる


それは・・・


「告ったのは俺が先だったろう」
「大通りで抱き合うとかねーだろ」
「断ってから次へいけよ」


あれは本気だったのか?と
今更ながら呆れるような愚痴にも似た攻撃で


「言われ過ぎて麻痺してた」


私の返事も最後は疲れて適当なものになっていた


「アンタさ、告白くらいは誠実じゃないと伝わんないわよ」


知夏からも呆れた声を出された飯田は


「冗談で何年も言い続ける訳ねーだろーが」


そう言いながら酷く悔しそうな顔をした


「でも、失恋確定じゃん」


クスッと笑った知夏のひと声で


「・・・え」


飯田は驚いた顔をした


「もしかして付き合うのか?」


「そーよ」


知夏さん、何故にあなたが返事をした?


「マジか?雨宮?」


眉尻を下げた飯田に
誤魔化すのも可哀想に思えて


「・・・そうなった」


「なんだよ」


ここで“ごめん”とも言えないから
クルリと身体を反転させて
知夏へと視線を戻した


「いいよ、眞子は悪くない」


小声で囁く知夏に
瞬きで返事をすると


このやり取りを固唾を飲んで聞いていたクラスメイトが


やっと動きだした



・・・あー怖っ



涼太の所為で晒し者になった気分は
恥ずかしい複雑な気持ちになって


それでも


芽生えたこの気持ちを
大事にしたいから


負けないように顔を上げた













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