エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「大変だろうが、みんなで協力して乗り切ろう。なに、心臓が苦しくなったら、休憩室に行って休めばいいじゃないか」

結局、なんの説得もできぬまま、会議室を後にした。

自分のデスクに向かいながら、オフィスを見渡す。

疲れ切った千葉さんの顔。後輩たちもモチベーションが下がっているのが見てとれる。協力会社のメンバーも、度重なる残業に辟易しているって顔だ。

……私だけ解放されても意味がない。

かといって、全員でハッピーエンドになれる未来なんてあるのだろうか。この忙しさの山を越えれば、楽になれる?

けれど、まだ先は全く見えない。山を越える前に全員で遭難してしまいそうだ。

……どうしたら……。

トクトクトク、と胸が震え始める。不安だ。

この強い負の勢いに飲み込まれてしまいそうで、キュッと胸元を握りしめた。
< 125 / 259 >

この作品をシェア

pagetop