エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
嫌われたって仕方がない。婚約を破棄されたって文句は言えないくらいだ。

でも。ここで同僚たちを置いて、私ひとりが逃げ出したところで、なんの解決にもならないから。

「本当に調子の悪いときは、ちゃんと休みますから、だから――」

もう少しだけ、好きにやらせてください……!

言おうとしたところで、透佳くんが突然ソファから立ち上がった。

ツカツカと私のほうへ歩み寄ってきて、目の前でピタリと足を止める。

……もしかして、すっごく怒ってる……?

驚いて、怖くて、何も言えぬまま、ドキドキしながら彼のことを見つめていると。

「どれだけ俺に心配かけたと思ってる」

彼の右手が私の耳の後ろに回り、思いっきり顔を引き寄せられた。

不意打ちのキス。深く唇が絡み合って、呆然としている間に離れた。キスの味なんて、感じる暇もなかった。

でも、透佳くんの言いたいことだけはわかった。

深く心配してくれているということと、それから……。

「……ごめんなさい」

私は、大事にされている。体だけでなく、心のほうも。

私を引きとめたい想いと、願いを叶えてやりたいという気持ちが、彼の中で交錯している。
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