エリート外科医の滴る愛妻欲~旦那様は今夜も愛を注ぎたい~
「千葉さんのせいじゃありませんよ」

きっと権蔵さんだって、千葉さんのせいだとは思っていない。

けれど、もうこりごりだという顔で千葉さんは息をつく。

「俺が不甲斐ないせいで誰かが倒れるのは、もう嫌なんだよ。本当に」

自分だって倒れそうなくらい働いているのに。

それでも正しくあろうとする千葉さんの姿が痛々しくて、つらかった。


その日の午後、どうやら部長は土日のタイムカードを確認したようだ。私が休んでいたことを知り、不機嫌な様子でやってきた。

「早風さん、土日は悠々と休んでいたそうじゃないか。ちょっとやる気が足りないんじゃないのか?」

私の席の後ろに来て、あえて皆に聞こえる声で叱る。

「部長、その件で、お話が――」

残業ができないとは言わない。せめて無理のない範囲で、体調を見ながら。

そう話をつけようと腰を浮かせたのだが、部長の矛先は思わぬ方向に向かった。

「千葉。管理不足だ! 社員の尻を叩くのもお前の仕事だぞ!」

千葉さんはぎょっとして顔を上げる。まさか自分に火の粉が降りかかってくるとは思わなかったのだろう。
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