【女の事件】とし子の悲劇・3~翼をなくした白鳥
第10話
2024年8月1日より、あきとは南区内にある10階建てマンションの2階のテナント部分のグループホームにて新生活を始めたが、あきとは初日の朝から生活態度が悪かった。

グループホームは、朝6時半にみんなが起きてホームの前の掃除をして、7時に世話人さんが作ってくださった朝ごはんを食べて、個々の活動場所へ向かう支度をするが、あきとは8時過ぎてもグーグー寝ていた。

8時20分過ぎに、グループホームの前にワークセンターのバスが到着した。

運転手さんは、グループホームで暮らしている男性の利用者さん5人にあきとが起きていないのでどうしたのかと聞いた。

利用者さんたちは『アイツはまだ寝ている。』と答えた。

運転手さんは『ほな起こしに行こうか…』と言うて中に入って、あきとを起こしに行った。

その頃あきとは、部屋の中で大きなイビキをかいて寝ていた。

(ドカドカドカ…ガラガラガラガラ…)

運転手さんは、大きなイビキをかいて寝ているあきとに怒りながらこう言うた。

「こりゃあきと!!いつまでグーグーと寝ているのだ!!(ワークセンターに)行くぞ!!」

運転手さんは、あきとの足をつかんでふとんから引きずり出した。

「ヤダヤダヤダ…ヤダヤダヤダ…(ワークセンターに)行きたくないよ…ヤダヤダヤダ…」

あきとは、運転手さんに足を引きずられながらも激しく抵抗していた。

世話人さんの女性は、激しく抵抗をしているあきとに『わがままばかり言わないの!!』と怒った。

あきとは激しく抵抗したが、送り迎えのバスに乗せられた。

その後、あきとはどうなっていたのかと言うと、たぶんワークセンター内で思い切り暴れて、もめ事ばかりを繰り返すようになっていたと思う。

あきとは『自立した暮らしがしたい…』と言うていたが、今のあきとは生活態度がますます悪くなっていたので、どうしようもないバカになっていた。

その一方で、あきひろは会社を無断欠勤をしたあげくに自動的にクビになったので、1日中家の中で酒浸りになった。

かつて、水車町内に住んでいたご近所さんの人から聞いた話であったけど、アタシが家を出ていった後、アイツは近くの酒屋さんに行って、一升瓶の酒を毎日のように買っていた…質屋さんに羽織などの高級品を質入するようになったと言うてた。

アタシは、アイツ(ダンナのことは以降アイツと表記します)を救う余力はないので『死にたきゃ死ねばいいわよ!!』と怒っている。

8月2日のことであった。

ところ変わって、札幌市中央区西11条にある裁判所にて…

武方さんは、アイツとアイツの知人を相手取って、アタシに対して億単位の慰謝料を請求する民事訴訟を起こす手続きを取った。

裁判所は、武方さんの申し出を受理した。

同じ日の午後、裁判所はアイツとアイツの知人とアイツの兄夫婦を呼び出して、本格的な裁判を始める前に今回の民事裁判の争点の整理を始めた。

裁判所に来ていたのは、武方さんと弁護士さんとアイツとアイツの知人とアイツの実家の兄夫婦が来ていたが、アタシはいなかった。

武方さんは、民事裁判の争点をアイツの知人がいいかげんな決めつけが原因であることとアイツの無関心が原因で家庭内の人間関係がおかしくなったことをあげて裁判で徹底的に争うと言うたので、アイツの兄夫婦はものすごく困った表情になった。

こうして、泥沼の民事裁判が始まった。

しかし、武方さんはアタシが裁判所に来ていなかったので心配になってた。

その日の夜のことであった。

武方さんは、JRあいの里教育大駅前にあるファミマにやって来た。

武方さんは、アタシに『どうして裁判所に来なかったのか…』と泣きそうな声で言うたので、アタシはしらけていた。

アタシは、ゴミ箱の整理をしながら怒った声で武方さんに言うた。

「武方さん…アタシは裁判を起こして億単位の慰謝料をもぎ取って、問題を解決することは一切望んでいないのよ!!アタシは、下らない裁判に付き合っているヒマは1分もないのよ…あんたは今回の離婚もアタシが悪いと言いたいのね!!アタシは、裁判所からの呼び出しにはコンリンザイ応じないわよ!!そんなくだらん裁判を取り下げて、とっとと高松へ帰んなさいよ!!」
「とし子さん、こっちはものすごく困っているのだよ…とし子さんが裁判所に来ていないので、とし子さんの言い分が分からないのだよ…来週の火曜日に裁判所に来てほしいのだよ…とし子さんの言い分が分からないので、裁判官が困っているのだよぅ…」
「はぐいたらしいわね(あつかましいわね)!!アタシが裁判所に来なかったら裁判官が困ると言うけど、裁判官はアタシの言い分を聞いてどうしたいのよ!?」
「どうしたいって…とし子さんの言い分を聞かないと裁判ができないのだよぉ…」
「ふざけたことを言わないでよ!!アタシの言い分を言うても、司法はアタシが全部悪いと言うに決まっているわよ!!」
「いや、裁判官はとし子さんの今の気持ちが知りたいから言い分を聞くのだよ…」
「うるさいわね!!司法はアタシが全部悪いと言うに決まっているわよ!!」
「どうしてそんなことを言うのかな…今回はダンナの知人が再婚を強引に進めたことが原因でゴタゴタが起こったのだよ…とし子さんは心身共にズタズタに傷ついたからもう再婚したくないと言うたので、助けてあげたいのだよぉ…」
「だから裁判所に行けと言いたいのね!!ムジュンしているわよ!!裁判所に行っても、アタシは悪者にされてしまうだけよ!!まっぴらごめんだわ!!」
「とし子さん、下らない裁判に付き合っているヒマはないと言うけど、裁判所に行かなかったら困るのはとし子さん自身なのだよ…」
「だから!!どういうところが困ると言いたいのかしら!?ますますはぐいたらしくなったわ(イライラしたわ)!!アタシは裁判所に行かないと言ったら行かないわよ!!」
「とし子さん、裁判所に行かなかったら困ると言うのは、財産分与のことがあるから言うているのだよ!!」
「アタシはアイツの家の財産はびた一文もいらないわよ!!」
「財産のことは二の次でいいから、その前にまずとし子さんがあきひろさんに対しての言い分を伝えないと…」
「どうしても必要だからと裁判所に行けと言いたいのかしら!!」
「だから、とし子さんの言い分が必要だから…」
「アタシの言い分なんて何一つないわよ!!アタシはあんたが勝手に裁判を起こしたことを怒っているのよ!!勝ち目のない裁判を起こしてイタズラに時間を費やして何がしたいのよ!!あんたね、来週の火曜日に裁判所に行った時に裁判所の裁判官に土下座して裁判を取り下げてくださいとお願いしてよね!!」
「裁判を取り下げるだと!?」
「当たり前でしょ!!アタシはあんたに何一つもお願いしていないのよ!!それなのにどうして勝手なことしたのよ!?アタシは思い切りキレているのよ!!人の職場に居座る気ならば店長呼ぶわよ!!」
「居座る気はないよぉ…」
「だったら、今すぐに帰んなさいよ!!」
「このままでは帰れないのだよぉ…」
「帰んなさいよと言ったら帰んなさいよ!!」
「とし子さん、このままでは帰れないのだよぉ…弁護士さんから頼まれて、とし子さんを説得してくださいと…」
「帰んなさいよと言ってもあんたは帰らないのね!!」
「帰りますよぉ…とし子さんお願いですから、とし子さんが裁判所に行くと言うだけでいいから…来週の火曜日に裁判所へ行きますとひと言いえば帰りますよぉ…」
「断固拒否するわよ!!アタシの言い分は何一つもないわよ!!アタシは思い切りキレたわよ!!アタシ、あんたと一緒に札幌にやって来た弁護士をメイヨキソン罪で訴えることも視野に入れているのよ!!」
「メイヨキソンだと…」
「裁判所へ行けと言うのであれば、アタシは知り合いの組長の顧問弁護士と行くから…顧問弁護士の男とアタシの愛人の組長とチンピラ10人連れて裁判所へ行くわよ!!」
「やくざを連れてくるだと!?」
「アタシはやくざの男とドーセイしているのよ!!あんたがアタシにストーカーしていたことを組長にチクるわよ!!逃げるなよ!!」

アタシはスマホを取り出して、知人の組長に電話をしていた。

武方さんは、恐れをなしてその場から逃げ出した。

アタシは、アイツの家への怒りをさらに高めた。
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