【女の事件】とし子の悲劇・3~翼をなくした白鳥
第17話
アタシは一定のメドがたったので、8月30日でバイトをやめて本州へ引き返すことにした。

そこで新しいバイトと住まいを探すことにした。

このまま札幌に居続ければ、アタシの生命にもかかわるかもしれない…

できれば早い内に逃げ出そう…

このままだと、いつかは生命の危険にさらされるかもしれない…

8月20日、より強い危機感を募らせていたアタシは、敦賀で暮らしている友人のラインに急いでメッセージを送った。

この最近…

水車町の近辺が危機的な状況におちいっているみたい…

このままだと…

アタシ、殺されてしまう…

アタシ…

うんと遠いところへ逃げるから…

とし子

しばらくして、敦賀で暮らしている友人からメッセージが返ってきた。

とし子…

一体、何が起こったのよ…

ねえ…

くわしく教えてよ…

ねえ…

とし子ってば…

聞いているの…

アタシは、敦賀で暮らしている友人に『くわしいことは追って話すから…今はゆっくりと話ができない…』とメッセージを書いて、返信した。

しかし、敦賀で暮らしている友人はなおも心配になっていたので、アタシにメッセージを送り続けた。

『とし子…一体何が起こったの?』
『もしかして…離婚をしたダンナから復縁をせまられているの?』
『あんたまた、男とトラブったの?』
『ねえとし子…応答してよ…』

ごめんね…

今は…

話ができないの…

心配になっているのはわかるけど…

今は…

アタシの生命に関わる非常事態なのよ…

8月21日のことであった。

この日はバイトがお休みなので、再び豊平区まで行った。

アタシは赤茶色のバッグを持って、南七条大橋を渡って、水車町1丁目にたどり着いた。

アイツの家の800メートル手前に来たときであった。

キンリンの住民がザワザワと騒いでいたので、一体何が起こったのかと強い不安を感じた。

そして、アイツの家の手前200メートルにさしかかった時あった。

アイツの家の前に、キンリンの住民のみなさまが大人数で集まって、通りをふさいでいた。

一体、何が起こったのだろうかと思って近づいてみたが、先へ行くことができなかった。

この時であった。

アイツの家の玄関に、5~6人のチンピラがいて、大声でおらんでいた(さけんでいた)。

「オラ!!開けんかい!!」
「オラあきひろ!!出てこいやオドレ!!」

近所の奥さま方がものすごく不安な表情でヒソヒソ声で話していたので、アタシは何気なく聞いてみた。

「あの…ちょっとお聞きしてもよろしいでしょうか?」
「はい。何でしょうか?」
「200メートル先の家に…やくざが集まっているけど…あれ、どういうことかしら…」
「とし子さん、あきひろさんに金銭的なトラブルがあったことを知らなかったの?」
「金銭的なトラブルを抱えていたって!?」
「そうよ。」
「そんな…」

この時、げんなりとやせほそっているアイツがフラリと現れた。

「あきひろさんだわ!!」

近所の奥さまが、ビックリした声でアイツが現れたと言うたので、住民のみなさまはなおもヒソヒソと話していた。

「アニキィ!!」
「何や!?」
「あきひろが帰ってきた!!」
「オラ!!あきひろ待て!!」

やくざに見つかったあいつは、その場から逃げ出した。

近所の奥さまたちは、口々に『あきひろは何を考えているのかしらねぇ…』とヒソヒソと話していた。

アタシは、別の奥さま方にどうしてあきひろはやくざに追われたのかを聞いてみた。

この時、あきひろは7月頃にあきとがかつて勤めていた会社の社長さんが男に刃物で刺されて亡くなった事件が起因していると言うた。

亡くなった社長さんは、アイツを保証人にして中小企業ローンを組んでいた。

金額は億単位だと言うことであったが、アイツは支払いの能力がないので、やくざの親分がおかんむりになっていた。

もうそんなところまで危なくなっていたって…

もしかしたら…

アタシも危ないかもしれない…
< 17 / 18 >

この作品をシェア

pagetop