からふる。~第28話~
私はまだ物色中だと思われる黒羽くんに近付いていった。



「黒羽くん」


「うわっ!ビックリしたぁ!」


「そんな驚かなくても...」


「さあやのイメージと対話してる時に来るんだからそりゃびっくりするだろうが」



イメージと対話?


なんかちょっと危ない人じゃない?



「それより何だ?終わったのか?」


「うん。私はバッチリ」


「おれの方は全然だ。着てほしい服が有りすぎる。さすがさあやだ」


「なら、試着して似合うやつ決めるよ。私も黒羽くんに1回来てもらいたいし、とりあえず試着室いこう」


「分かった。そうする」



着てほしい服が有りすぎる、か...。


三上さんも良く言ってたなぁ。


母と三上さんとお買い物しに行った時、母は私に薔薇が描かれたワンピースを押し付ける傾向があった。


母は薔薇が大好きで、プロポーズの時は薔薇を100本もらったと自慢してはその話を色んな場面で引きずっていた。


三上さんはそんな母とは対照的に私に色んな服を持ってきていた。



「お嬢様にお召しになって頂きたい服がたくさんあって困ります。奥様がお選びになったスカートも良いですが、私はこちらのピンクのスカートが春らしくて良いかと...。あとこちらとこちらのトップスが可愛くて...」


「でしたら、試着して似合うものを選びますね」


「はいっ!」


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