みずあめびより
続いて型抜き屋の前に来る。

「ついにこの日が来たな。」

「練習の成果出るといいね。」

繋いだ手に力が入る。

お金を払って渡されたのは700円と1000円の難しい絵で、二人同時に『よし!』と気合いが入る。

ネットでコツを調べ、箱で買った型抜き菓子で何度も練習したことを思い出しながら進めると、なんと二人共見事に割れずに絵をくり抜くことが出来た。

「抜けた・・・。」

鈴太郎が額に滲んだ汗をぬぐいながら言うと、放心状態だった衣緒も我に返る。

「「やった・・・!」」

思わず抱き合うと、近くにいた子供達が驚いたように二人を見る。

「「・・・あ。」」

慌てて離れると汗ばんだ手でハイタッチをした。


型抜き成功の興奮冷めやらぬままハイテンションで屋台の食べ物を次々と食べ、最後にあんず飴の屋台に来た。

「今年も二人で回そうか。去年みたいに・・・愛の力・・・で当たるといいけどな。」

「去年より何倍も深まってるから・・・ね。」

二人揃って頬を染めつつ、お互い繋いでいない方の手をルーレットに伸ばす。ルーレットに勢いをつける為に逆に少しひねってから時計回りに回そうとしたその時───

「ヨシリン!?彩木さん!?」

「「!!!!!!」」

そこには両手に屋台で買った食べ物をたくさん持ち、隣の新貝にも持たせた真中がいた。
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