みずあめびより
「そんな怪訝な顔するなよぉ。実はここだけの話、なんだけどよぉ。」

真中は周りを見回すと鈴太郎の前の椅子に座った。

「一言で言うとだな、ひひひ、うちの新貝(しんかい)が彩木さんのこと気になってるんだってさ。しょうがねえから、ここは頼りになる上司の俺が一肌脱いでやろうと思ってよぉ。」

真中はドヤ顔でポン!と胸を叩く。

「・・・。」

───え、あの新貝が彼女のことを・・・?

真中の言葉に思わず固まってしまう。

「おい、お前今、『一肌どころかその皮下脂肪三肌くらい脱げよ。』って思っただろぉ!?」

「は?思ってな・・・。」

「言っとくけどなぁ、俺は太りたくて太ってる訳じゃないんだからな。痩せたければいつでも痩せられる。でも仕事のために泣く泣く太ってるんだ。ビジネスデブってやつだよ。俺が痩せたら売り上げ落ちるぜ。」

「・・・。」

「この腹はな、黄金の腹、金のなる腹なんだよ。うちの会社の財産だ。」

丸い腹を愛おしそうに撫でながら言うので、面倒だから認めて話を進めることにする。

「ああ、そうだな・・・。
で、一肌脱いで何をするんだ?」
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