最後の夜
あたしの目は鋭かっただろう。

その鋭い眼光を、聡志は真っ直ぐ見つめ返してくる。

「あたしの背中にある絵が、気になる?」
「気にはならない」
「地獄太夫だよ」
「女の人だった。」
「あたしと同じ運命の、"おいらん"だよ」

煙草をふかして、言い放った。

誰にも何も言わないで背中に彫った。

15歳のときに。
< 31 / 33 >

この作品をシェア

pagetop