陽点  心の中の太陽

待ち合わせの駅前。

ロータリーに出ると 富永さんの車は 停まっていた。



「やっとだね。」


穏やかに笑う富永さん。


「これでも すごい勇気出したのよ。」


緊張で 私の笑顔は ぎこちない。



助手席に乗って 郊外のレストランまで。


車の中で 少し話す。


「篠田さんの子供って もう高校生だっけ?」


「上の子は 高2。下は 今年 受験。」


「結婚 早かったんだね。」


「だから 失敗したの。」


いつの間にか 正直に言う私を 富永さんは 驚いて見つめる。



「失敗なの?」


「そう思っていたんでしょう。」


「そうでもないけど。何か 抱えているとは 思っていたけどね。」


「富永さんは?どうして 離婚したの?」


「女房に 浮気されたの。」


「やだ。本当に?」


「嘘だよ。すれ違いが多くて。うまくいかなくなったの。」


「子供は?」


「できる前に 別れた。」



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