竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~
 苦笑いするトープさんに別れを告げ、私は、ヴァヴェル兵の処理で慌ただしい竜王城を後にしました。

 トープさんの妹さんがやっているというお店は、竜王城のある町のはずれにありました。
 妹さん──モーブさんには先に話が伝わっていたようで、夜中にもかかわらず、すんなり家に入れてくれました。
「姉さんから話は聞いてるよ。あんたがライラか」
「はい。よろしくお願いします」
「いったいなにをしでかして竜王様の逆鱗に触れたのか」
 トープさんと同じダークグレーの瞳を細めて笑うモーブさん。
 おっと。私は竜王城でやらかして逃げてきたって設定ですか。なるほどなるほど。
「あまりに使えないからでしょうねぇ。物は壊すは、掃除はできないわ、片づけられないわ」
 実際、竜王城でも料理しかしていませんでしたしね。
「……むしろできることはなんだ?」
「料理、ですかね? 料理といっても後片づけはできません!」
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