最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
「奥さん! 今日は良い鯛が入ってるよ」


きゃ~


お、奥さんって!


今、奥さんって言われたよ。


その呼び方、めちゃくちゃ恥ずかしい。


照れるよ、すごく。


だけど、何だかちょっと嬉しい。


「あ、その鯛下さい」


私は、苦笑いしながら言った。


「奥さん、もし刺身にするならさばこうか?」


また奥さんって……


これは何度呼ばれても慣れないな。


「あ、はい。カルパッチョにしたいんでお願いします」


本当はニヤケが止まらないけど、いたって冷静なフリをした。


「いいね! 若いご夫婦にはピッタリの料理だ。シャレてるね」


「あ、あはは」


もう笑うしかなかった、ご夫婦……って。


私は絢斗と結婚もしてなければ、付き合ってもないのにね。


おじさんが綺麗にさばいてくれた鯛の刺身をもらって、私は、足取りも軽く急いでマンションに戻った。
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