最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
「次回作の舞台。ホテルについても、君にいろいろ聞きたかったけど……それも諦めるよ」


工藤様は、また空を見て言った。


「本当にすみません。では、広報に……」


「それも遠慮するよ。しばらくはホテルを題材に書くのはつら過ぎるから……」


そんな……


工藤様の作品、私のせいでダメになってしまったの?


どうしよう……


「いつか、また……書いていただけますか?」


恐る恐る聞いた。


工藤様は、私の方を見てニコッと笑った。


何も言わなかったけど、私には「ああ、いつか必ず書くよ」って、そう言ってるように思えた。


都合の良い解釈かも知れないけど、それでも、本当にそう思ったから。


工藤様は、ホテルの中に戻ろうとして、入口のところでふと立ち止まった。


そして、ゆっくりと振り返って、


「彼と……お幸せに。俺は、俺の道を……真っ直ぐ行くよ。隣に君はいないけど、頑張れるところまで、何とか1人でやってみるよ」


そう言って、私の前からいなくなった。
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