最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
私がカウンターを離れようとしたその時、


「一花さ……あっ、いえ、松下さん。もし何かあったらすぐに僕に連絡して下さい」


って、茅野君がすごく真面目な顔で言った。


そこに、トレードマークの笑顔はなかった。


茅野君……?


工藤様に対してそんなにもマイナスのイメージを持ってるの?


「だ、大丈夫ですから。じゃあ、お願いします」


私はその場を離れて、急いで工藤様の部屋に向かった。


大丈夫とは言ったものの、やっぱり少し心臓がドクドクいってる。


私の脳裏に、あの時の目の前まで迫ってきた工藤様の顔が思い出された。


天才肌の小説家さんだけあって、とても繊細そうな雰囲気な人なのに、あの瞬間はとてもワイルドで色っぽかった。


熱い息遣いにゾクッとした記憶が鮮やかに蘇ってくる。


ダメダメ、変なこと考えないで急ごう。


工藤様は大切なお客様なんだから。
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