最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
部屋の前まできて、私は1度深く呼吸してからベルを鳴らした。


しばらくしてドアがゆっくりと開いた。


「工藤様。お待たせ致しました」


頭を下げた瞬間、工藤様は私の腕をつかんで部屋に引き入れた。


嘘!?


ど、どうしよう。


「松下さん……怖がらないで」


え……?


工藤様は私の腕を優しく離して、そう言った。


「工藤様?」


「そこに座って」


「で、でも、勤務中ですから、このままで……」


「いいから、座ってよ」


そう言って、工藤様は私の両肩に優しく触れてソファに座らせた。


「す、すみません。失礼します」


「わざわざ呼び出して申し訳ない」


工藤様も、向かい合わせにソファに座り、囁くように言った。


「あ、いえ。先日のお話ですよね? お返事が遅くなり大変申し訳ございません。あれから、総支配人には話をしました」


「……そう……彼は、何て?」
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