バイオレット・ダークルーラー



わたしの沈黙を拾い上げた御堂くんの微笑みは

儚さを携えて、今にも消えてしまいそうな微かなもので。


…分からない。分からないことばっかりだ。


紫月さんやマッシュたちもそうだった。

何もかもを力でねじ伏せるような、わたしなんかが触れられるはずのないところにいるかと思えば

急に存在を傍らに感じて、散ってしまいそうな脆さを持っている。



「御堂くん」



久米ちゃんと話した時に容赦なく叩かれた気がしたわたしの背中。

自分がどうすべきか。どうしたいか。


紫月さんに助けてもらったこの命をどう生かせるかと、いろんなことを考えた。



「わたしね、自分から話しておいてやっぱり何でもないとか言われると、結構他のことが手につかないくらい気になっちゃうの」

「………」

「あと、なるべく人に借りを作りたくない。してもらったことがあったら、ちゃんと恩返しがしたい」



…もううんざりだ。

家でも学校でも麗蘭街でも。わたしだけは世界を知らなくていい、居させないと、蚊帳の外にされるのは…うんざり。



…そんな悲しみしか残らない孤独、もういらないよ。



「だから、わたしに教えて」

< 125 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop