バイオレット・ダークルーラー
「…水城さん、さっきと表情が全く違うね」
「そう?御堂くんも表情がコロコロ変わって面白いよ」
「ははっ、俺って面白いのかぁ。初めてもらった褒め言葉だ」
――…後々、後悔するときが来るのかもしれない。
それでもいい。わたしは自分で決めたのだから。
御堂くんを知りたいと思った。
紫月さんや麗蘭街のことも、もっと知りたいと思った。
だから紫月さんに会いに行く。そう決めた。
「やっぱり水城さんは、俺の思った通りだった」
「だから、そういう含ませた言い方が嫌いなんだってば」
「うわ、さっきまでの大人しさはどこ行ったの?」
「うわって何よ」
…御堂紫苑。学校一の秀才で聡明で、つかめないクラスメイト。
言葉巧みな彼だから、血液落としを持っていたのだって…偶然とか適当な理由なのかもしれないけど。
「放課後、放送室においで」
「…え、」
「…。今って授業中でしょ?しかも不特定多数の場。こんなところで自分をさらけ出すほど俺もバカじゃない」
――…空気が
「水城さんは、一緒に堕ちてくれると思ってたよ…っ!」
変わる。
その恍惚と深い声がゆっくり落ちてきたとき
彼のピアスとわたしのブレスレットが、太陽の光に反射して
唯一無二の光を帯びた、気がしたんだ――…。