バイオレット・ダークルーラー
分からない。何にも分からない。
莉菜と麗蘭街に行ったこと、あのダイニングバーにいたこと、どうして知ってるの。
…そういえば久米ちゃんも知っていた。
この学校でも麗蘭街に出入りしている人は一定数いる。全部偶然で片付けられることではない。
「っまさか御堂くん、」
「なに」
「麗蘭街に住んでるの…!?」
――…そうとしか思えない。
血液落としを持っているのだって、喧嘩やなにかと物騒な街を生き抜くためだとしたら、申し訳ないけど一番合点がいく。
「ふはっ!ったく…。あんた本当に推理が好きだな」
「そんなことはないけど、普通に考えたら…っ」
「優等生の御堂紫苑くんはそんな物騒な場所に住んじゃいねぇよ」
「…そ、そっか」
…御堂くんの笑顔は、木島くんと話している時に見たことあるけど
その時とは少し違う。今のは、くしゃっとした柔らかい笑顔だった。
「…残念だったか?俺が麗蘭街の住人じゃなくて」