バイオレット・ダークルーラー
「ねぇふたりとも。紫月さんの願いって何だったの…?」
「ごめん、それは言えないんだ。水城さんが自分で辿り着かないと、きっと紫月様には届かない」
「…もっと言うと、俺たちは全員紫月の願いを阻止したい。願いを阻止することが、あいつを救うことになる」
――…紫月さんはかつての願いを捨てたと言った。
もう願う立場ではない、叶える立場だからと。
けれど彼は本当は、まだ願いを持っているのかもしれない。
「水城さんならものすごく勘が良いし賢いから、すぐ辿り着くと思う。…そうであってほしいっていう、おれと壱也の…それこそ、“今の願い”だね」
「手のかかる同志を持ったもんだ。本当によォ…」
「あはは、確かに」
…わたしが紫月さんの願いに辿り着くこと。それが、紫月さんを慕う人たちの今の願い。
彼がわたしに願いについて話したと言うことは、彼の中でも願いを忘れたい葛藤があったということ。
「…あと、御堂紫苑という人間は存在しないって話だけど」