バイオレット・ダークルーラー
―Chapter 4ー

すみれ








「疲れたろ、ごめんな」

「ううん、大丈夫。次は総会?だっけ」

「そう。朱里の紹介を兼ねて」

「なにそれ緊張する…」



陽が落ちかけた夕空と、三日月。

数時間しか経っていないのに、外の空気を吸えたことに感動すら覚える。



「…支配人様、驚いたよな」

「今まで感じたことのない恐怖は感じた…。…でも、織原さんと木島市長が帰った後はすごく穏やかで優しくて」

「っ、」

「本当は優しい人なのかな、そうだったらいいなって、思ったよ」



そう。織原さんと木島市長が帰ったあと、まるで別人のように優しかったのだ。

…わたしが金銭的援助を受けていないからか。はたまた初対面だからか。いろんな疑問がわくけれど。



「朱里」

「ん、……っ!?」

「…キスしたくなった」

「っ街中ではダメ…!」

「ふーん、じゃあ家だったらいいんだ」

「……うん」

「…おまえなんでそこ素直なの…」



左目にカラコンをした紫月の艶やかな金髪が、風に靡いて心地よさそうに見えた。

< 261 / 300 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop