バイオレット・ダークルーラー



「なお、慰霊につきましては…。紫月様と支配人様のお2人のみで、近日中に行われるとのことです」


「「――っ!」」」

「嘘でしょ…っ!近日中っていつ…っ」

「支配人様次第だ」

「そんな…!!!」



途端、緊張が走りざわつく会場内。

すみれさんは席を立って悲痛な声をあげている。


氷雨さんや店員さんでさえ、顔を覆っていて

マッシュと花村さんは今にも泣きそうな表情をしていた。


…どういうこと?その創設者様の命日に行う走行ってやつが、中止になったからみんなざわついてるの?

……違う、そのあとだ。慰霊は紫月と支配人のふたりで近日中に行いますって、司会の人が言ったあと。



「…あの方は、いつも急な人だから」

「「紫月様、」」


「みんな、ありがとうな」



――…紫月の優しい声色が

儚く、脆く降ったと気付いたとき


若干感じ続けていた胸騒ぎが、いよいよ形をとどめ出した気がした。

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